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AutoLISP初心者講座

AutoLISPの作成環境を整える|VS Code・保存・APPLOAD

AutoLISPの基本・図形操作のTips一覧
このページでわかること

まずは「書く場所」と「動かす場所」を用意しましょう。VS Codeで.lspを保存し、AutoCADのAPPLOADで読み込む。小さなコマンドが1つ動けば、作成環境の準備は完了です。

こんなときに使えます

LISPを作りたいけれど、どのソフトで書き、どこに保存すればよいのかわからない方。

まずは仕組みを見てみましょう

AutoLISPのファイルは、コードを文字で保存した.lspファイルです。エディタはコードを書くため、AutoCADは実行するために使います。専用のコンパイルをしなくても、.lspのまま読み込めます。この記事ではWindowsのデスクトップ版を使い、文字を表示するHELLOENVから始めます。

実際に試してみましょう

  1. AutoCADの製品名・年版・OSを確認します。Windows版AutoCAD LTでは2024以降を使います。
  2. Microsoft公式のVS Codeをインストールし、AutodeskのAutoCAD AutoLISP Extensionを追加します。
  3. 自分が編集できる作業フォルダを用意します。この記事の例は C:\CADLabo\Lisp です。権限がなければドキュメント内などに作り、以後のパスを読み替えます。
  4. AutoCADのOPTIONS → ファイルで、このフォルダを「サポート ファイルの検索パス」と「信頼できる場所」に追加します。
  5. この記事のHELLOENVコードを新規ファイルへ貼り付け、helloenv.lspという名前で保存します。
  6. 練習用の図面を開き、APPLOAD → ファイル選択 → ロードでhelloenv.lspを読み込みます。
  7. コマンドラインにHELLOENVと入力し、Enterを押します。CADLabo: AutoLISP is ready.と表示されれば最初の確認は完了です。

1. 使っているCADはLISPに対応している?

使用環境この手順の扱い
Windows版AutoCAD 2021以降この記事のVS Code導入例の対象。AutoLISPの作成・読み込みに対応しています。
Windows版AutoCAD LT 2024以降AutoLISPに対応。VS Codeでの編集はできますが、Autodesk拡張機能によるLTへのデバッグ接続は非対応です。
Windows版AutoCAD LT 2023以前AutoLISPの対象外。古いLTへ同じ手順を適用しても実行できません。
AutoCAD LT for MacAutoLISP非対応。このWindows向け手順の対象外です。
Mac版AutoCAD・Web版・他社CADWindows向けのフォルダ・CUI操作と分けて、各製品の対応機能を確認します。

「LTだからLISPが使えない」と一括りにせず、Windows版か、2024以降かを先に確認しましょう。COM・ActiveXなどを使う実務コードは、基本的なLISPが動いてもLTで動かない場合があります。

2. VS CodeとAutoLISP拡張機能を用意する

  1. Microsoft公式のWindows導入ページからVS Codeを準備します。Visual Studioとは別のソフトです。
  2. VS Codeの「拡張機能」を開き、AutoCAD AutoLISP Extensionを検索します。WindowsではCtrl+Shift+Xでも開けます。
  3. 公開元がAutodesk、識別子がAutodesk.autolispextの拡張機能を選び、インストールします。
  4. 「ファイル」→「フォルダーを開く」で作業フォルダを開きます。
  5. 新規ファイルをhelloenv.lspとして保存し、言語モードがAutoLISPになっているか確認します。

最初はAPPLOADでの実行を使えば十分です。エディタとAutoCADをデバッグ接続する設定は、コマンドが動いてから追加できます。AutoCAD LTへデバッグ接続できないことと、LTでLISPを実行できないことは別です。

メモ帳でも作れますか?

プレーンテキストを保存できるエディタなら作成できます。メモ帳では「すべてのファイル」を選び、拡張子が.lsp.txtにならないようにします。Word文書として保存する方法は使いません。

3. 保存先・検索パス・信頼できる場所を設定する

保存先を決めておくと、読み込み先を見失いにくくなります。次の2つの設定は役割が違います。

設定役割今回の追加例
サポート ファイルの検索パスファイル名だけで読み込む際などに、AutoCADがファイルを探す場所。C:\CADLabo\Lisp
信頼できる場所コードを読み込み・実行してよい場所として指定するフォルダ。C:\CADLabo\Lisp
  1. OPTIONSを実行し、「ファイル」タブを開きます。
  2. 「サポート ファイルの検索パス」を展開し、「追加」→「参照」で作業フォルダを選びます。
  3. 「信頼できる場所」にも、実際に使うLISPのフォルダを追加します。
  4. 「適用」→「OK」で閉じます。

信頼する範囲は自分が管理するコードのフォルダに絞ります。SECURELOADを0にする設定は必要ありません。設定が会社やAutodesk Docsで管理されていて変更できない場合は、指定された保存先を使います。

4. 拡張子と文字コードを確認する

保存名はhelloenv.lspです。エクスプローラーで「ファイル名拡張子」を表示すると、末尾に.txtが付いていないか確認できます。

新しく作るファイルはVS CodeでUTF-8を選ぶ方法から始められます。日本語の文字列を扱う現行環境では、AutoCAD側のLISPSYSも確認します。Unicode環境を使う例は1です。値を変更した場合は、AutoCADまたはAutoCAD LTを再起動してから読み込み直します。

古いAutoCADや既存のShift-JIS系ファイルは、同じ設定で一括変換せず、元の文字コードと使用年版を確認します。最初のサンプルは英数字だけで表示し、読み込みの確認と日本語の文字化け確認を分けています。

5. APPLOADで読み込み、コマンド名で実行する

ページ下のコードをコピーするか、.lspファイルをダウンロードして作業フォルダに置きます。

  1. AutoCADで練習用の図面を開きます。
  2. APPLOADを実行し、helloenv.lspを選びます。
  3. 「ロード」を押し、結果を確認してダイアログを閉じます。
  4. HELLOENV → Enterで実行します。F2でコマンド履歴を開くと、表示文を確認しやすくなります。

ファイル名はhelloenv.lsp、実行するコマンド名はHELLOENVです。名前が同じになるとは限りません。

コマンド欄から読み込む場合

AutoLISP:フルパスで読み込む
(load "C:/CADLabo/Lisp/helloenv.lsp")

AutoLISP文字列内のフォルダ区切りには、上の例のように/を使えます。フォルダの実際の保存場所が違う場合は、そのパスへ置き換えてください。

6. 慣れてから自動読み込みを追加する

まず手動で1回動かし、保存・再読み込みの手順がわかってから設定します。

  1. APPLOADを開きます。
  2. 「スタートアップ スイート」の「内容」を開きます。
  3. 「追加」でhelloenv.lspを選び、閉じます。
  4. AutoCADの再起動後と、新しく開いた図面の両方でHELLOENVを確認します。

図面を開くたびの読み込みを管理したい場合は、AutoCADではacaddoc.lsp、Windows版AutoCAD LTではacadltdoc.lspを使う方法もあります。既存ファイルがある場合は置き換えず、内容を確認して追記します。最初の環境設定では、ファイルを増やさずAPPLOADから始めて大丈夫です。

困ったときは、ここを確認

症状確認するところ
APPLOADで.lspが見つからない保存先と拡張子を確認。.lsp.txtになっていないか、ファイルの種類の選択も見ます。
信頼できない場所のメッセージが出る読み込む実ファイルのフォルダと「信頼できる場所」が一致しているか確認します。
HELLOENVが不明なコマンドになる現在の図面へ読み込んだか、ロード時にエラーがなかったか、defun c:HELLOENVの名前を確認します。
コードを変えたのに表示が古いエディタで保存した後、同じファイルをAPPLOADで再読み込みします。
括弧や文字列のエラーが出る半角の括弧・ダブルクォートを使い、閉じ括弧や閉じクォートの抜けを確認します。
日本語だけ文字化けする保存時の文字コード、LISPSYS、設定変更後の再起動を確認します。

次は自分専用コマンドの作り方へ。ボタンから使いたい場合はCUIのカスタマイズファイルを作る手順へ進めます。

たとえば、こんな使い方

最初に準備するのは、AutoCAD、エディタ、helloenv.lspの3つだけです。文字を表示できたら、今度は保存した文字を変えて再読み込みし、変更が反映されるところまで試してみましょう。

実務で試す:保存・読み込み・修正の1周を試す

作図をしないHELLOENVで、作成したファイルがAutoCADに届いているかを確認します。

  1. helloenv.lspを保存し、APPLOADで読み込みます。
  2. HELLOENVを入力し、コマンドラインに表示される文を確認します。
  3. VS Codeで文末を「ready」から「updated」に変え、Ctrl+Sで保存します。
  4. APPLOADでもう一度同じファイルを読み込み、HELLOENVを実行します。

ここまでできたら確認してみましょう

表示がupdatedに変われば、編集→保存→再読み込み→実行の流れを確認できています。保存だけでは、すでに読み込んだ定義は更新されません。

練習用の例です。図面のコピーを用意して、今の設定を控えてから試しましょう。CAD実機での検証は未実施です。

コード

helloenv.lsp
(defun c:HELLOENV ()
  (princ "\nCADLabo: AutoLISP is ready.")
  (princ)
)

.lspファイルをダウンロード 無料・実機未検証

コードをひとつずつ見てみましょう

  1. defun c:HELLOENVで、HELLOENVという名前のコマンドを定義します。
  2. 空の括弧()は、外から渡す引数がないことを表します。
  3. princの文字列をコマンドラインへ表示します。\nは表示前に改行する指定です。
  4. 最後のprincは、余分な戻り値を表示せずに終了するために使います。

つまずきやすいポイント

VS Codeで書いたコードは、保存しただけではAutoCADへ反映されません。保存する、APPLOADで読み込む、コマンド名を入力する、の3段階を確認します。

うまくいかないときは

HELLOENVの英数字サンプルへ戻り、1ファイルだけで確認します。動くまで、エディタのデバッグ設定や自動読み込みを同時に増やさないようにすると原因を絞りやすくなります。

公式資料・確認範囲

資料確認:2026-10-11。操作は主に Windows版 AutoCAD 2021以降 / AutoCAD LT 2024以降 を想定。資料の対象年はリンクに記載しています。画面や選択肢はバージョンで異なる場合があります。 掲載コードのCAD実機テストは未実施です。